S&Kのブログ

世の中の思い込みを検証していくブログ

経済予想の難しさ(Koara)

私は大学では経済学を専攻していました。

4年間かけて、大学の授業を受けたり、自分で本を読んだりしましたが、結局わかったのは

「経済学で経済のことをはっきりと理解するのは無理なんだな」

ということです。4年間もかけてわかったのがそれかよ、というツッコミが飛んできそうですが、実際そうなので何とも言えません。

確かに経済学を勉強すれば基本的な法則のようなものは学ぶことができます。例えば、需要と供給の原理(みなさんも中学や高校の「政治経済」で需要曲線だの供給曲線だの習ったかと思います。モノの値段がどうやって決まるのかっていうアレです。)とか、消費者はどうやって商品の購入を決めるのかとかです。

ですがもっと大きな話、例えば今後の景気とか国の財政政策の良し悪しなどは正直言って予想できないのです。

「え、でもテレビとか新聞とかだと景気予想とかしてるじゃん」

と思われた方。今回お話するのはまさにそのことです。

確かにテレビに経済学者などが出ていると、経済のことについていろいろ語っていますよね。「アベノミクス」がどうとか「中国の為替政策」がどうとか、最近だとトランプ大統領の話題が多いでしょうか。

みなさん、景気はこうなる!とか財政政策は間違っている!とか言いきっている印象があるかと思います。

ですが、ここで落ち着いて考えてみましょう。

例えばアベノミクスは間違っている!と断言した人がいるとします。

実際に景気が悪くなれば

「ほら私の言った通りアベノミクスは間違っていたんですよ」

といえますよね?

では逆に景気がよくなったとしましょう。このときはどうでしょうか?

「景気がよくなりましたね、私が間違ってました」

と言うでしょうか?いえ、実際は

アベノミクスは間違っていたが、米国の景気がよくなった好影響で日本の景気もよくなったのだ」

などと言えてしまうのです。

こういったことが起きうるのは経済学(特にマクロ経済学と呼ばれている分野)に検証性がないからです。

もし、アベノミクスの効果を知りたければ、まず地球を二つ用意して、片方ではアベノミクスを実施し、もう片方では実施しない。そのうえで経済がどうなるかを調べるしかありません。(念のため、言っておくと統計学の手法を用いて、経済効果を調べるというのは行われています。それでも完全な予測はできません。どれだけデータを集めても、この世界の事象すべてを計算することは不可能だからです。少なくとも現時点では。)

つまり予測があたろうが当たるまいが好きなことが言えてしまうのが現状です。

勘違いしないでいただきたいのですが、私は別に「経済学なんて全く役に立たないんだぜ!」といいたいわけではありません。それどころか個人的には非常に面白い学問だと思っています。政治学や統計学、はたまた心理学と、多くの分野と関わりますし、面白い研究もたくさんなされています。

ですが、こと予測という面ではそこまで信用できないよねという話です。

次回は今回の内容を踏まえて、テレビのコメンテーターって正直うさんくさいというお話をしようと思います。

 

Koara