コメンテーターのうさんくささ(Koara)
前回の記事では経済予想の難しさについて書きました。
scholar-curation.hatenablog.com
今回はそれを踏まえて、テレビのコメンテーターの怪しさについてお話します。
前回もお話しした通り、経済予測というのはそんなに簡単ではありません。ですがテレビに出ている経済学者ははっきりと景気は良くなるとか、国の財政政策は失敗するとか言いきっている人が多いと思います。
これにはあるカラクリがあります。結局、はっきりと断言する人のほうがテレビ受けがいいのです。
想像してみてください。テレビのコメンテーターが
「この先の景気は良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれません。株価も上がる可能性もあれば下がる可能性もありますね。」
などと言ってたら視聴者はどう思うでしょうか。「いや、この番組見てもなにもわからないじゃん!」となりますよね。きっと翌週から見るのを止めてしまうのではないでしょうか。
ですが、断言しているからといって正しいとは限りません。下の図を見てください。
これは経済学者の分布です。
ある経済政策があったとして、それが正しいとか間違ってるとか言い切れるのは全体で見れば少数派です。前回お話ししたような経済予測の難しさは経済学者なら当然知っていることですので、「現時点ではどちらともいえない」という意見の人が一番多いでしょう。
ですが先ほど言った通り、テレビで好まれるのははっきり断言する人ですので、視聴者の印象に残るのははっきりした経済予測だけです。そうすると「経済学で経済予測をすることは可能なんだ」という誤解が広まってしまいます。
勘違いしないでいただきたいのですが、私は別に彼らが嘘を言っているとか詐欺師だとか言いたいのではありません。彼らは彼らなりに、理論を組み立てており、それが正しい可能性ももちろんあります。
ですが、テレビ等で見る学者はあくまで全体の一部にすぎず、テレビ受けする人が選ばれているだけ、ということは忘れないで欲しいのです。
事実を知りたければ、結局のところ自分で勉強するしかないのでしょうね。
Koara