S&Kのブログ

世の中の思い込みを検証していくブログ

思い込みの活かし方(Koara)

みなさんは”ピグマリオン効果”というのをご存じでしょうか?

これは心理学の用語の一つで、「他人に対する期待が現実になる現象」を表した言葉です。つまり、「誰かに期待されると、それが本当に実現できる」というものです。

例を挙げてもう少し分かりやすく説明しましょう。例えば、サッカー少年のA君がいたとします。このとき、もし周囲が

「A君はサッカーが得意だから」

という態度で接すれば、それだけで本当にA君はサッカーが上達する、というのがピグマリオン効果です。ここで、大事なのは実際にA君がサッカーが上手なのかどうかは関係ない点です。

たとえ、今A君はサッカーが下手だったとしても、「上手いよね」とか「きっと上手くなるよね」といった期待をかけられることで、実力が上がるのです。

この効果は1960年代にアメリカの教育心理学者ローゼンタールとジェイコブソンによって検証されました。彼らは、ジェイコブソンの学校(彼は当時ある小学校の校長をしていました)の生徒によくある知能テストを受けさせます。しかし、教師たちには

「これは特別なテストで、近いうちに成績が上がる生徒を見つけ出すためのものだ」

と伝え、実際に何人かの生徒の名前を「成績が上がる候補」として教えたのです。ところが、この名前は完全にランダムに選ばれたものでした。実際のテストの成績はおろか、その時点での成績などとも何の関係もありません。

ですが、ふたを開けてみると、実際に名前を上げられた生徒たちの成績は向上していたのです。これは教師の期待が、生徒の成績に影響を与えていることを意味します。

どうして成績が伸びたのか、まではこの研究からはわかりません。「成績が伸びる生徒」に対しては、熱心に指導したからなのかもしれませんし、それとも期待されていることが生徒にも伝わって、自発的に勉強するようになったのかもしれません。

しかし、なんにせよ、「あの子はできるようになる」という一種の思い込みがプラスの効果を生み出したのは確かです。こどもと接する際に、「どうせできない」「やるだけ無駄だ」などと思うのではなく、「この子にはこういう面があるからもしかしたらうまくやれるかもしれないな」と考えてあげられれば、それだけでなにかが変わる可能性は大きくあります。

残念ながら、この実験は大人を対象にしたものではないので、部下や同僚、友人に対してピグマリオン効果が発揮されるかはわかりません。ぜひ、皆さん自身で試してみていただければと思います。

どうせ思い込むのなら

「あの人は○○だからきっとダメだろう」

というネガティブな思い込みより

「あの人は◇◇な良さがあるからきっとできるだろう」

というポジティブな思い込みを。

以上です。

Koara