働き方改革がなぜ進まないか(Shin)
以前のブログで、「働き方改革は、”業種×固定資産の大きさ”で分けて考えるべきである」と述べました。
scholar-curation.hatenablog.com
今回は、働き方改革について、人材市場の観点から考えていきたいと思います。
1、従業員の交渉力を上げるには?
従業員の労働時間を決定するのは会社ですが、従業員が交渉力を持つ方法が二つあります。一つ目は、労働組合の形で抗議を行い、時にはストライキを起こすという方法。二つ目は、労働環境が良い他の会社をいつでも選べるというシステムが整備されていること。
で、私はこの2つ目の方法が非常に重要だと思います。つまり、労働市場の流動性を上げることが、働き方改革を促進するのではということです。
2、労働市場の流動性を上げるには?
まず、大前提としてワークライフバランスを重視したいと考える人が増えています。でも、それを理由に転職を行う人は多くないのが現状です。
その裏には、「個人に転職できるだけのスキルが身についていないから、あくまで特定の会社のスペシャリストとして育成されるから」「一つの会社で勤め上げるという風潮が以前として強いから」「転職活動が手間だから」「給料が下がってしまうから等、色々な要因が考えられます。
日本の転職市場の流動性の低さは昔から言われていることであり、最近は少しずつ改善が進んでいるものの不十分です。ですが、例えば、年功序列・長期雇用などの日本型雇用システムにはメリットも存在し、日本企業の競争力にも繋がっているため、それを完全に壊すことは現実的ではないと思います。
そこで注目すべき部分が、中途市場ではなく新卒市場です。転職市場と比べると、現状においても被雇用者(=ここでは学生)の交渉力は圧倒的に大きいです。
ですので、新卒応募者にワークライフバランスが整っている会社を選んでもらうための方法が重要になってきます。
そのためには、まず、ワークライフバランスの重要性を学生に理解してもらうことが必要です。仕事が未経験の学生にとって、どれくらいの割合で仕事とプライベートに時間を割くべきか実感がわきません。そのため、感覚的に理解してもらう事が必要であり、長期インターンは一つの有効な方法です。
次に、残業・拘束時間に関する正確な情報を学生に伝えるシステムを構築することが必要です。例えば、新卒を募集する段階で、残業時間を公表することを義務付けるといった方法が有効でしょうか。
3、まとめ
具体的な方法は色々と議論の余地がありますが、残業時間を減らすためには、「ワークライフバランスが不十分な企業が新卒採用市場で苦戦する仕組みを作る」という方向性で考えることが必要かと思います。
以上です。
Shin