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働き方改革に必要な考えの枠組み(Shin)

政府が推進している働き方改革について、思ったことをちょっと書きます。

労働時間に関連した企業のニュースは、これまでに色々ありました。

まずは、電通の事件
www.nikkei.com

次に、ヤフーの週休3日制導入検討
www.huffingtonpost.jp

他にも、ワタミの過労死自殺すき家のワンオペスタートトゥデイの1日6時間労働などなど。


で、これらのニュースを見て思ったことは、政府は業態によって違う仕掛けを作る必要があるということです。

個人的には、「BtoC、BtoB」×「固定資産大、固定資産少」で分けて考える必要があるかなと思いました。


1、BtoB
まず、BtoBは企業から案件を受注してサービスを提供します。具体的には、アプリの受注開発、広告代理店、コンサルなどです。こういった企業には納期が存在するわけで、自社で労働時間を調整しにくいんです。(※もちろん、納期に縛られない事業もありますが。)納期を遅くするとサービスの競争力が落ちるため、労働環境を犠牲にしてでも案件を獲得しに行く競合に売上を持っていかれてしまいます。交渉力は、お客さんの方が大きいんです。また、仮に1日6時間労働を導入して労働生産性でカバーしようにも、現実的には厳しく納期に間に合わなくなるのが目に見えています。
 
例外は、例えば日本電産です。2020年までに残業時間ゼロを目指していますが、日本電産ほどの競争優位性があれば、納期に関する交渉力も上がるので可能です。(電通は、マスメディア系では絶対的な交渉力を持ちますが、高橋さんが所属していたインターネット広告系の部署は競争が激しい業界です。)
 
まとめると、競争力が高い一部の企業、納期が存在しないタイプの企業を除いて、BtoBの企業は自ら労働時間を改善することが難しいと言えます。
 
解決策としては、過度な労働環境悪化に繋がらない条件で案件を受注できるように、企業を保護する制度を作るとかでしょうか。でも、外国企業と比べた競争力が落ちますね。。。んー、そうなると、できる限り労働生産性を高めるか、適正な規模の案件を受注するしかないのかもしれません。


2、BtoC×固定資産少
BtoCは、消費者に直接商品やサービスを提供する業態ですが、これは、固定資産(店舗、車両など)の割合の大きさで区分する必要があります。

まず、BtoCの中でも「固定資産少」のタイプ。労働時間改革に向けて、先陣を切っているヤフーやスタートトゥデイが含まれます。このグループは、サービスを効率よく消費者に届ける仕組みを作ることで、ホワイト企業になりやすいです。
 
なので、「BtoC×固定資産少」の業界は、あまり心配する必要がないですね。特に、知的産業が多い業界なので、労働時間が売上に結び付くとは限らないですし。


3、BtoC×固定資産大
BtoCで、問題なのは「固定資産大」のタイプです。問題になった、すき家ワタミの他に、タクシー業界、ホテル業界、小売業界などが含まれます。このグループは、放っておいても、建物、車両、人に関する費用が膨大にかかるので、利益をあげるためには営業時間をのばすことで資産をフル稼働する必要があります。その上、この業界は人手不足の影響をもろに受け、それが労働環境を悪化させます。

ただし、「営業時間をのばす=労働時間をのばす」は必ずしも成立せず、自動化や人材配置等で対処できる面もあります。特に将来的には、自動運転や自動レストランの実現も見えているので、希望大です。

まとめると、「BtoC×固定資産大」の業界は、労働環境が悪化しやすいが自社での改善余地もあるといったところでしょうか。


4、まとめ
以上をまとめると、次のような表になります。
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単純化した分析ですけど、議論の基本的な枠組みとして使えるのではないでしょうか。以上です。

Shin